絵を描くのに大切な能力の一つが空間認識能力です。この能力が高ければとても便利ですが、低いからといって絵が下手という事にはなりません。
ここでは脳科学をもとに
・空間認識能力と絵の関係
・認識能力を補う技法
・男女の空間認識能力の差
について書いています。
空間認識能力を鍛える方法については身近な物で空間認識能力を簡単に鍛える5つの方法を読んでください
空間認識能力とは何か
空間認識能力とは、空間の中で物体の位置や大きさなどを認識する能力のことです。難しく聞こえるかもしれませんが、私たちは普段から空間認識能力を使って生活しています。
例えば車を駐車場に停める時
・両隣の車の距離
・駐車場の後ろの壁
の距離を認識して停めています。
バスケットボールやサッカーでも、自分とゴールの距離がどれくらいかを認識してシュートを決めます。
絵を描く時の空間認識能力の役割
空間認識能力は絵にも活かされます。例えばリンゴを描く時、頭の中でリンゴを色々な角度に回転させて
・奥行き
・立体
・他の物との距離感
などを把握して描きます。
空間認識能力が低いと絵は下手なのか
認識する能力が低いから絵が下手、上手くならないということはありません。個人的な意見ですが、日本人には特に関係ないように思います。
それがよくわかるのが浮世絵です。

こちらは歌川広重先生の「東海道五十三次」のイラストです。画像はこちらから引用させて頂きました→著作権フリー作品「富嶽三十六景」
作者は手前から旅人たちを見ているのに、奥の人物と手前の人物の大きさも、木の大きさも変わっていません。
しかし、急な坂道や奥にある山で絵画の人たちが奥へ奥へと昇っていくように見えます。このように、日本は独特な技法で空間を演出してきました。
実際に歌川広重先生の空間認識能力がどうだったのかは分かりませんが、たとえ3次元の空間として正しくなくても、1つの作品として素晴らしい絵、上手い絵はたくさんあります。
空間認識能力が低くても空間を演出する方法
一番早いのが遠近法です。
遠近法とは、消失点をとって背景や建物を正確に描く事です。遠近法を何となく理解して技を身に着ければ、空間認識能力が低くても物と物との大きさを違和感なく描く事ができます。
イラスト初心者には難しいように感じるかもしれませんが、スマホのカメラの位置(アイライン)上に消失点があると考えたらやりやすいです。

詳しくは【超初心者講座】パースを使って漫画の背景を簡単に描く方法をご覧ください。
女性は男性より空間認識能力が低い?
よく脳は右脳と左脳に分かれてると言われています。
左脳・・言語処理、数字の計算などを担当する部分。日常生活のほとんどはこちらの脳を使っていると言われています。
右脳・・芸術や音楽などの情緒感覚を担当。右脳はイメージで記憶できるため膨大な量の記憶が可能とのこと。「天才脳」とも言われます。
一般的に右脳型なのが男性。そして、空間認識能力をつかさどる部分は右脳にあると言われています。
また、男性は狩りで獲物をとってきたため、物と物の距離を図る能力が高くなったと言われています。
逆に女性は喋れない赤ちゃんを育て、近所の人と情報を交換することで言語能力が高くなったと言われています。
実際に操縦士には男性が多く、同時通訳には女性が多いです。
ただ、これらには時代も関係してると思います。特に女性の場合は男性よりも職業を選べず、女性が任される仕事は「(一部の人が考えた)女でもできそうな仕事」だけでした。
空間認識能力がある脳は、年齢に関係なく、鍛えれば鍛えるほど発達していきます。
昔は空間認識能力を発達させる機会が女性に与えられなかったため「女性は男性より空間認識能力が低い」というイメージが定着したんだと思います。
しかし、今では女性も職業の選択の幅が広がりました。2000年には日本で初めて女性の機長さんが誕生しています。
参考:パイロットの能力「男女差ない」 特集・日本初のJAL女性機長が歩む道(前編)
長い男女差別の中で、女性自身が「空間認識能力が低い」と思いこんでる場合も多いです。
話がそれてしまいましたが、ここで伝えたいことは空間認識能力が低くても絵に空間をもたせることは可能だということです。
そして「空間認識能力が低いから絵の才能がない」「絵はあきらめるしかない」というのはとても勿体ないです。
絵を描くこと、作品を作ることは自分を表現することにもつながります。
そして、あなたが生み出したものが誰かに感動や喜びを与え、逆にあなたも誰かの影響を受けて、成長していきます。これはとても素晴らしい事です。
肩の力を抜いて、楽しんで描いてみてください。
