私が超おすすめしている人体クロッキー―美術解剖学をデッサン・アニメ・漫画に活かすという本のご紹介です。
こんな人におすすめ
- 画力をあげたい
- 人間をしっかり描けるようになりたい
- クロッキーの意味について知りたい
- 美術解剖学を勉強したい
- 一から人物を勉強したい
- 独学でも上手くなりたい
- 時間がかかってもいいから上達したい
- 人間を描くのに合理的な方法を知りたい
こんな人には向かない
- 今の自分の絵に満足している人
- 自分の絵柄が好きな人
- 短時間で上手くなりたい人
- 男性器の写真が苦手な人(モデルさんの下半身は見えています)
- 文章を読むのが苦手な人(難しい単語や専門用語あり)
- クロッキーの方法だけを知りたい人
この本を一冊で言うと、とても合理的な本だと思います。
絵を描けるようにするにはよく観察し、人がもつ曲線を描き(クロッキー)体軸、重心を勉強し、人の骨、筋肉を理解する。そのような手順で書かれています。
クロッキーとは
高桑先生は本書でクロッキーについてこのように述べています。
クロッキーは速描画といって、10分程度の短い時間で物体の形だけでなく動勢や柔軟性を主にとらえて描きます。
自然も人間も、全ては有機的曲線で出来ています。
この本では目に見えるものから目に見えないもの(重心、体軸)までを線で表す、そのためにクロッキーが最適だという考えのもと書かれています。
アニメや漫画には輪郭がありますが、本当の人間には輪郭は存在しません。
高桑先生は「アニメなどの輪郭線は、プロの人がいくつもの線から選びだした、たった一本の線」という事をおっしゃっています。
この本は美術解剖学をデッサン・アニメ・漫画に活かす本だよーということが表紙にも書かれていますが、人物の描き方だけじゃなく人物の見方、今までの描き方をすべて捨てることから始めるため、今すぐ上達したい!という人には向かないと思います。
また、自分の今の絵を変えたくない人(一冊丸々勉強すると絵が変わります)解剖学などを学ばずに2次元のみを描き続けたい人にはおすすめしません。
内容と流れ
簡単に言うと
・今までの絵柄を捨てる(アニメとはプロの方が無数の線の中から選び抜いた一本の線で出来てる。その線をなぞるだけでは上達できない)
・人間の動きや体軸、重心、それらを全て線で表す(やり方を見ながら写真の人物のクロッキー)
・人を線で表すことに慣れてきたら、線のバリエーションをつける(筋肉に負担がかかる部分は強く、なめらかな部分は柔らかい線)
・人体には一定の決まり事がある。そのために美術解剖図(頭部、腕、足など骨格と筋肉。筋肉の起始と停止)
・上で学んだ解剖学を利用し、漫画、アニメに活かす(3次元の人を誇張、変形させたのが2次元。人物解剖学を活かし、顔の陰影に反映させる)
実際にクロッキーしたもの
まず3次元を3次元のまま紙に描き起こす、というのが第一歩です。
そのため、最初は線の数も物凄く多いし、何が描いてあるのかさっぱりわかりません。
街中の人をクロッキーしたもの。これも本書をやり始めた頃にしたものだと思う。
多分「この本が役に立たなかった」と感じる人は途中で飽きたんじゃないかと思う。
表紙にも書かれてるように三ヶ月で劇的に上達!ということは、逆をいえば1週間や2週間で上手くなりたい人には全く向かない本だよ、ということ。
写真を見ながら、その人の動きの軌跡を手を止めずに描くムービングを行った時の絵。
手を早く動かすことで右脳が活発になるせいか、私はやっててとても楽しかったです。この時「そういえばガサガサ線が大好きだった」っていうのを思い出しました。
今まで一本の線をいかにきれいに描くかに神経を注いでたけど、素早く鉛筆を動かすことでそれに気づけました。
人物の変化
数年前に描いたもの。この時はヒトカクサイト様ばかり練習していました。
人には見える、人には見えるけど固い。
人体クロッキーやり始めた後の絵
動きが出て人間らしくなりました。それがすっごく嬉しかったです。
好奇心の源って驚きもあるんだと思う。この本をやってみて「人の体ってこんなに曲がるのか!」という事に驚いて、楽しくてどんどん続けていきました。
上の絵をみたらわかると思いますが、徐々に線の数が減っていきます。
最初は「線がこんなにあって大丈夫なのか?」と思いながらやってましたが、そのうちその写真の意図するものや、ここを描けばいい、という部分が自分なりにわかってきます。
そうすると無駄な線が無くなってく→人の形に見えてくる、と言う仕組み。
アニメーターの人はこんな無数の線からたった一本の線を選んでるんだな・・すごい。
これが最近描いたもの。ルーミス先生の模写。
やったぜ!フォー!
3ヶ月で劇的に上達はしたのか
しました。
劇的に・・と、言えるかはわかりませんが、上の絵をみて貰えると分かると思いますが、少なくとも昔よりは人が人らしく描けるようになりました。
やっぱり人間が描きたかったんだなぁとしみじみ。
後は「自分は下手だ」と分かってる人こそ、この本を試した方がいいと思います。なぜなら今の絵に固執してないからです。だから簡単に新しい方法を試せる。逆に今の絵柄が好きで変えたくない人には全く向かないと思います。
数年前だったら私もこの本を買っても絶対上達しなかった。自分の絵が嫌いじゃなかったし、自信もあった。若かった。
人間を人間らしく描きたい人にはとてもお勧めな本です。
人体クロッキー―美術解剖学をデッサン・アニメ・漫画に活かす