かつては高価な文房具であった万年筆。最近では1000円前後というお手頃価格で買える
万年筆が販売されるようになりました。
私も購入→描き味に惚れる→gペン、丸ペンに戻れなくなるという、沼に落ちてしまいました。
でも検索しても万年筆で原稿や線画をかくのには否定的な意見が多い!
というわけで個人的に思ったメリットやデメリットを並べ、それを解消するコツについてまとめてみました。
今回使用する万年筆はパイロットのkakunoです。
メリット
以下の通りになります
■つけペンのようにインクボトルにつけてかかなくていい
インクボトルにつけて描くのが面倒な人は多いはず。
カートリッジ式の万年筆なら、カートリッジを装着するだけでいつでも漫画が描けます。
■芯先の耐久性。長持ちするし、使えば使うほど描き手になじむ
つけペンはペン先がつぶれたら交換しなくてはなりません。
ペン先は意外と高価な上、手作りなのでどうしてもアタリはずれがあります。
■インクが原稿用紙にポタ…がなくなる
誰もがやったインクにポタ…。それがカートリッジ式の万年筆なら!なくなります。
実際に万年筆を開発したハイス氏という男性は、NYで外交員をしていた時に
契約書にインクをたらして契約破棄。その苦い経験をいかして万年筆を
開発したと言われています。
■外出先でも漫画が描ける
いつ、どこにでも持ち運びが出来るのが万年筆のメリット。
カフェでも、休憩時間でも持っていけばさっと漫画が描けちゃう!
デメリット
■印刷に出にくい
万年筆に使われてるインクは染料タイプのインクが多いです。
このタイプは漫画用インクに使われる顔料インクよりも濃度が低く、印刷に出にくいと言われています。
また、時間が経つと色あせる事が多いです。
■線の強弱をつけずらい
元々万年筆は文字を書くために開発されているため、線の太さはほぼ均一。Gペンのようにイラストに柔軟な強弱をつけるのは苦手です。
大体こんな感じです。
向かないと言われているのは主に強弱がつけられない・印刷に向かないという点。
なので、万年筆でイラストを描く時にはこれらのデメリットを解消してあげればOK!
「印刷に出にくい」を解消するには
最近ではボールペンや鉛筆で描いた漫画を印刷し、同人誌にして頒布する人も多いです。
デジタルソフトが普及した今、私はどのような画材でも漫画を描くのは可能だと思ってます。
黒をはっきり出したい場合は、ソフトを使って色を調整しましょう。
実際にkakunoで漫画原稿用紙に描いてみました。
使用したのはDELETERの漫画原稿用紙(はがきサイズ)
ついでに表紙に載っている可愛いこちゃんを模写。
600dpiでスキャン。クリスタを開き、編集→色調補正→トーンカーブで調整します。レベル補正でも可能。
画像をみながら適当な位置に調整。
左がスキャンしたままのもの、右がトーンカーブで調整したものです。
黒がはっきり出るようになりました。
勿論、有料お絵描きソフトではなくフリーのものでも出来ます。
AzPainter2を起動し、イラストを読み込み、フィルタ→カラー→レベル補正
こんな感じに黒を濃く出すことができました。
こうやって並べるとやっぱりクリスタの方がフリーソフトより綺麗だね…
デジタルで調整するのが面倒な人は顔料インクを使うと便利。雑誌に作品を投稿する時は顔料インクで描いた方が間違いないです。
インクの種類、おすすめのインクについてはこちらの記事を参考にしてください。
強弱がつけられない
万年筆は均一な線を売りにしているため、悲しい事に強弱をつけるのには向かないです。
しかし、使い方をわけることで細い線と太い線を引くことは可能です。
以下は通常のスマイルマークを表にした線と、裏返しにして引いた線です。
裏返しにすれば通常より細い線を引くことができます。
また、シャシャっと引きながら筆圧を変えることでメリハリをつける事も可能です
kakunoには中字、細字タイプの二種類があるため、これで使い分ける事もできます。
画像は二次利用が認められた佐藤秀峰先生の「ブラックジャックによろしく」のトレース。
漫画用の万年筆について
かつてマンガを描く為に作られたセーラーの万年筆が販売されていました。
この万年筆にはマンガに最適な顔料インクが使われており、耐水性にも優れています。
しかし、どのサイトを見ても2017年現在、取り扱いはないという表記が。
最近になってこのペンの存在を知ったのでとても残念…(T_T)
まとめ
万年筆でイラストを描くのをためらう人もいますが、デジタルと併用すればどんな画材でも絵や漫画を描く事ができます。
描き味が素晴らしく、インクにつけなくても描けるのは万年筆の醍醐味ではないでしょうか。
かくのをためらっていた人はぜひ試してみてください☆
今回使用したカクノについてはこちらの記事にも詳しく書いてます。